老人Z

劇場上映 (1991.9)
恍惚大活劇 復活!! 大友克洋×江口寿史のコラボレーションで実現した怒涛のメカアクション、連発のギャグ!!
21世紀を迎え、いよいよ高度高齢化社会に突入した日本。老人介護問題が深刻化する社会状況を、1991年に先見性を持って娯楽活劇に昇華させた画期的な劇場作品が存在した。寝たきり老人を乗せた自動介護ベッドが、変形しながら勝手に動き出し、軍事用に開発された戦闘ロボットと激しい戦いを繰り広げるという、前代未聞のスーパー・エンタテインメント・アニメーション『老人Z』がそれだ。今回、この傑作がハイビジョンの最上位フォーマット「HDCAM SR」でリマスターされ、さらに5.1chサラウンド音声を新たに収録して甦った!!

原作と脚本、それにメカニックデザインを担当するのは、自作のアニメ化『AKIRA』や最新作『スチームボーイ』でコミック界だけでなくアニメーション監督としても非凡な才能を発揮する大友克洋。さらに、ポップな絵柄と魅力的なキャラで数多くの信者を獲得している江口寿史が、キャラクターデザインで参加。そのアーティスティックなこだわりによって、常にコミック界をリードしている二人のクリエイターが、それぞれの持ち味を存分に活かして、この『老人Z』のリアルかつユーモラスな世界を造形している点が大きな見どころだ。 この二大巨匠の胸を借りて監督に挑戦したのは、近作『BLOOD THE LAST VAMPIRE』でジェームズ・キャメロンやクエンティン・タランティーノからも賞賛された北久保弘之。アクションと笑いを盛り込み、見るものを巻き込んで疾走するハイパー・アニメーションを完成させ、第46回毎日映画コンクール アニメーション映画賞を受賞した。
そのほか、作画監督には『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の飯田史雄、美術監督には『ふしぎの海のナディア』の佐々木洋。さらに作画スタッフには、当時フレッシュな才能を持った若手が集結した。その一部を列挙すると、今敏、神山健治、黄瀬和哉、沖浦啓之、井上俊之、鶴巻和哉、森本晃司…。世界から熱い注目を浴びる現在の日本アニメーション界を支える豪華な顔ぶれだ。
音楽は市川準監督作品を多く手掛ける板倉文が、『つぐみ』に続いて、もとチャクラの小川美潮とのコンビで取り組んだことも話題となった。
©1991 TOKYO THEATERS CO.,INC/KADOKAWA SHOTEN PUBLISHING CO.,LTD/MOVIC CO.,LTD/tv asahi/Aniplex Inc.
INTRODUCTION

イントロダクション

ボランティアの実習として独り暮らしの老人の世話をしている看護学生の晴子。そんなある日、厚生省が高齢化社会へ向けての新事業『Zプロジェクト』を打ち出してきた。在宅独居老人を介護する全自動看護ベッド、Z-001号機─。超小型原子炉によって稼動するこのベッドは、コンピュータを搭載。食事、入浴、排泄物の処理はいうまでもなく、テレビ、ラジオ、電話、オーディオまで完備して患者を孤独から解放するという、画期的マシーンであった。その栄えあるモニター第1号に自分が世話していた高沢老人が選ばれたことから、複雑な思いを抱く晴子。
その不安は、Z発表会の日に、さらにくっきりとした形となって現われた。Zによって体を洗われ、おしめを替えてもらい、食事、運動までさせてもらう高沢老人。しかし、彼女には、彼が機械にがんじがらめにされてる姿が、痛々しくてならなかったのだ。割り切れぬ思いで学校に戻る晴子。そこで彼女は、パソコンを埋めつくす「HARUKO」の文字を発見する。「おじいちゃんだわ」─大胆にもセンターへ忍び込む晴子。老人を救い出そうとする彼女に呼応するかのように、突如、Zが暴走し始めた!果たして何が起きたのか?事件は、さらなる謎を深め怒濤のクライマックスへ突入していく──
STAFFCAST

スタッフ・キャスト

スタッフ

  • 製作・著作
    角川書店・アニプレックス・テレビ朝日・ムービック・東京テアトル
  • 原作・メカニックデザイン・脚本
    大友克洋
  • 制作
    A.P.P.P
  • 音楽
    板倉 文
  • 監督
    北久保弘之
  • キャラクター原案
    江口寿史

キャスト

  • 高沢喜十郎
    松村彦次郎
  • 三橋晴子
    横山智佐
  • 寺田 卓
    小川真司
  • 長谷川良彦
    近石真介
  • 前田 満
    辻谷耕史