PPGZ 3大プロデューサー対談 | |||
『出ましたっ! パワパフガールズZ』は、米国生まれの日本でもおなじみ『パワーパフガールズ』をジャパニメーション化するという、全く新しい試みがされたプロジェクトだ。アニメーション制作は、日本の女児アニメーションの基礎を築き今尚、そのアニメーションセンスは業界きっての敏腕といわしめるほどの実力者、東映アニメーションの関弘美プロデューサー、そして「鋼の錬金術師」をはじめ数々のヒット作を生むアニプレックス勝股英夫プロデューサー、そして原作マクラッケン氏と日本の調整や原作からの制作プロデューサーとして立ったのは、カートゥーン ネットワークの鮎貝義家プロデューサー。異色な3人がパワパフZのプロジェクトに集い、普段から仲良くすばらしいチームワークで動いていたトッププロデューサーたちに、今だから話せるPPGZの誕生秘話、制作秘話を聞いた。 Q:このようなスキームでのプロジェクトは業界内でも稀、初めてといっても過言ではないとおもいますが…。 勝「はじめ、非常に興味のあるこの作品が我々アニプレックスが製作会社として、参加するのは難しいだろうと思っていました。権利関係が相容れないかもしれないと…。それに、実際色々な競合他社からのアプローチも多かった作品で、コンペになりました。ただ、いろいろ提案させていただいて、「これはやれるな。」と思いました。なぜなら、森下さん(註:東映アニメーション 常務取締役)が理解があり、東映アニメーションさんとアニプレックスがご一緒するのは初めてのことでしたが、思いの外、スムーズに話が進んだんですよ。」 関「そうそう意外と出来るもんだったね。」 鮎「僕は4話のシナリオができたころに、このプロジェクトに入ったんです。」 Q:アニメーションを制作するにあたって原作者のマクラッケン氏にもお会いしたそうですが、その時の印象や、話の内容はどうだったのでしょうか? 実際の制作が始まって(から)の反応などはありましたか? 関「始めて会った時の会話の雰囲気は、とっても良かった。向こう(原作者サイド)からも積極的に話し合いに参加してくれたし、ざっくばらんに色々なことを話せましたね。むこうからも色々な提案をもらったし、われわれも色々なアイデアを出しましたし。でもね、一つ話し合い中に気になったのが、マクラッケンさんの目の下のクマ。打ち合わせの中で白熱して頭の血管でも切れたのかと思って心配した! (笑)」 鮎「そうなんですよね。「フォスターズ・ホーム」(Foster's home for imaginary friends)で、実は原作者自身が登場するんですけど、そこにもクマがあるんですよ。彼自身認識している、ご自身の特徴なのかもしれないですね。」 勝「僕もあのクマには驚かされました。(笑) ただ、僕が一番の印象に残っているのは、ユートニウム博士とマクラッケンさんがオーバーラップしたことかな。」 関「そうそう、ユートニウム博士にとって、実験によって生まれてたガールズは生みの親のようなものだし、マクラッケンさんにとっても彼女たちは娘なのよね。強く認識して日本に帰ってくることになりましたね。」 勝「彼にとっては、父性ってものが重要なんだと思いましたね。それが良く分かった、お会いできて良かったと思いましたよ。」 関「日本の場合、女児向けのアニメーションとなると、普通は母性のほうを前に出すんですよね。」 勝「それで、パワパフZでは北沢ケンという新しいキャラクターを出しているんですが、最初の設定では実はユートニウム博士とは血の繋がりがない設定だったんです。でも、原作者と会ったことで、ユートニウム博士とケン君は親子になるわけです。」 鮎「確かに。実際、アメリカのアニメーションで成功した作品でも、ピクサーの「Mr.インクレディブル」「ファインディング・ニモ」もお父さん目線というか、父性を感じますよね。母性とか友情とかはありますが、お父さんの子供に対する愛情を描いたアニメーションってあまり日本には見られないかもしれないですね。」 勝「それは確かに日本の弱いところですよね。父親の存在が軽んじられているってことか~。一児の親として聞いているのはつらいなぁ。アメリカ人がすごくうらやましい(笑)」 鮎「それより、僕がこのプロジェクトに参加したのが4話のシナリオが出来たころで、初めてシナリオを読んだ時は、原作とあまりにも違ったし、日本的に調理をされていて、原作者には怒られるんじゃないかと本当に緊張してアメリカまで会いにあったのを覚えています。このシナリオをどういう風に原作者であるマクラッケンに見せれば良いのだろうと不安だったんですよ。でも、実際は、マクラッケンに大絶賛されたんですよ。僕は戦うつもりだったのに、いい意味で拍子抜けしました。」 勝「それはすごく良かったよね。」 関「原作のマクラッケンさんからは、“この原作をどんな風にしてもらってもいい” “日本のアニメーションにして欲しい”と言われていたんですけど、“何やっても良い”って言われると逆にどうしていいのか困ったのは覚えてますね。」 作品の誕生には原作者との多くのやり取りがあり、そこで生まれた「出ましたっ! パワパフガールズZ」ますます制作過程が気になるところです。インタビューはまだまだ続く… |